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つつじに水辺文様

つつじ

つつじに水辺文様

この柄は、夏に着る「絽」の着物に描かれていた柄です。
描かれている花は「つつじ」です。
つつじは、春先~初夏に華やかに咲く花です。古くから栽培が盛んで多くの園芸品種がありますが、本来は渓流沿いに生育していました。この柄は、そうした本来の姿からイメージされたものなのでしょうか。水辺に咲きほこるつつじの姿が瑞々しく描かれています。
小川のそばに置かれた籠は「蛇籠」といいます。
蛇籠とは、川の水の勢いを抑えるために作られた細長の円筒形に編まれた竹籠で、石などを入れて水中に沈めます。円筒部分の横長の形状と鱗に似た網目が蛇に似ていることからその名がついた、といわれています。水とともに描かれ、川や水辺の風景には欠かせないモチーフです。
蜻蛉は、日本人に古くから親しまれた昆虫です。現在は、ススキなどの他の草木と共に描かれ、季節の先取りとして夏の着物や帯に使われることが多い柄です。
日本人に身近な愛らしい小動物の中でも鳥はよくモチーフとされ、草花との組み合わせで季節感を象徴しています。
水辺模様は、流水に蛇籠、芦、小鳥の組み合わせで描かれることが多く、この柄では、つつじの間を流れる小川に蛇籠が置かれ、蜻蛉と、水を飲みに来たのでしょうか、川辺に戯れる小鳥の可愛らしい様子が描かれています。
人々は絽の着物に描かれたこの柄に、澄んだ空気の温度やせせらぎの音、つつじの匂いまでも思い起こし、涼しさを感じとったのでしょう。

近年描かれるようになった植物や野山の風景は、その時その時の季節を写しとったものです。吉祥の文様として、または図案化されて用いられてきた古くからの植物文とは趣を異にしつつも、そこに流れるものは日本人ならではの自然観、美意識であることに違いはありません。夏の暑い盛りに涼しさを感じさせる水辺の風景と、次の季節を先取りした蜻蛉を描き、四季の移り変わりにも思いを馳せる。この柄は、季節感を大切にした日本人ならではの感性がつくり出したものと言えるのではないでしょうか。

 

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