この柄は大正~昭和始めの男の子の着物柄です。
ハイカラなモチーフ、メルヘンチックな図柄は「ぼんち柄」と総称される男の子の着物柄とは少し雰囲気が異なり文化的な香りのする柄になっています。
明治時代は富国強兵に力を注がれた時代でした。大正時代になり国家が安定し、文化的な事に目が向けられるようになり、次代を担う子供達が大切にされるようになりました。子供のための絵本、文学が多く出版されたり、子供博覧会のような行事が行われ始めたのもこの頃です。この柄には西洋的なモチーフが用いられており、メルヘンチックな印象を与えています。オウムやインコ、鳩時計、洋犬、西洋の童話の一場面に出てきそうな風景……これらは子供達に海外の文化を伝える情操教育的な図柄となっているのです。
また、この時代は百貨店が一部の富裕な人が利用する所から一般大衆を対象にした物に変わっていき、子供が消費者として考えられるようになってきたのです。
子供のための柄をつけた物が出始めてきたのも大正時代からです。「ぼんち柄」と呼ばれた子供の着物柄も明治時代は教訓的なお伽話を題材にした柄が多く、大正時代には文化的なスポーツや文学、童謡の柄になり、昭和時代になると戦車や戦闘機が描かれ、時代を反映して変遷していったのです。