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童子
童子

御所人形の柄は、江戸中期以降に京都で作られた男児の裸の人形を文様化したものです。
大きな頭をしており、肌は白く、横太りの三頭身が特色ですが、これは子供のあどけなさや生命力を表すものです。丸々としたその体型が豊かさを象徴し、めでたさを表現しています。この柄のように腹掛けをつけたものや、頭巾をつけた姿が描かれたりもします。

中国においても古くから人物が文様になっています。
中国では多男子は子孫繁栄や家運隆盛(かうんりゅうせい)などを表しめでたい文様とされました。そんな理由から、多くの子供が遊ぶ「百子の図(ひゃくし)」が婚礼道具や屏風、夜具などに描かれたのです。日本にも中国から子供の文様が伝わり「唐子(からこ)」と呼ばれて人気の文様になりました。中国風の髪形に、中国風の服装の子供を描く唐子は無心に遊んでいる姿を描いており、江戸時代以降、子孫繁栄を願うものとして用いられるようになりました。

この柄を見てみると、唐子遊びに見立てて描かれたのでしょうか。たくさんの御所人形が色々な遊びをしている姿が描かれています。正月遊びの代表『こま回し』や『凧上げ』『羽子板』で遊んでいる子から、三味線、太鼓に笛を吹く子と、それに合わせて踊っている子など、遊びの種類も様々です。思い思いの遊びを楽しむあどけない姿が微笑ましく描かれます。
そんな子供たちの近くには、縁起の良い宝物が配されています。打出小槌(うちでのこづち)、分銅(ふんどう)、経巻(きょうかん)、丁字(ちょうじ)、七宝(しっぽう)と、縁起の良いものが御所人形たちの遊び場の間に大きく描かれています。
こうした吉祥文様を描くことで子供の)健やかな成長を祝っているかのようです。
小さな御所人形たちが無心に遊ぶ姿に思わず笑みがこぼれる、可愛らしい柄です。