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水龍
水龍

水の流れる様子を表した文様を背景に、中国から入ってきた想像上の神獣「龍」を描いています。
水は地球上のあらゆる生物が生きるために必要なもの。そのため、古くから水には神が宿ると考えられてきました。文様としても、さまざまに変化する水の姿は多様に文様化されています。水の流れを蛇行した線で表す流水文は特に好まれ、流水の上にさまざまなモチーフを描いた文様もつくられました。

龍は、4~5世紀に始まった渡来人の帰化による、各種工芸の移入によって中国から持ち込まれたと考えられています。古代より稲作中心の生活をしてきた日本では、古くは水を呼ぶといわれた蛇信仰と結びつき五穀豊穣をもたらす水神として信仰され、浸透しました。農作物が実るためには田畑に雨が降らなければなりません。
そのため、雨をもたらす水神・龍は、日本人にとって大変重要な位置を占めてきたのです。

日頃は水中・地中に住むとされる龍がもたらす恵みの雨。龍が鳴き声を上げて雷雲と嵐を呼び竜巻をおこして天に昇ると、恐ろしい雷とともに豪雨が降ると言われました。このように天に昇って雨を降らせる龍を「雨龍」と呼びます。

龍は、成長段階や棲む場所によりその形態が異なるとされ、多くの名前を持っています。中国では、身分によって使用できる龍文が異なるなど決まりがありますが、日本の文様では細かな決めごとはなく、万能をあらわす吉祥の文様として幅広く描かれています。

天のパワーを持つ龍は、強運のシンボルでもあります。あらゆる生命の源である「水」と「龍」が一緒に描かれることで、龍の強いパワーで災厄を取り払い、幸運な人生を歩めそうな「水龍」の柄です。