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桜と鳳凰

桜と鳳凰

桜と鳳凰

は日本の国花であり、最も日本人に愛されている花ではないでしょうか。
農耕民族である我々の先祖は自然の摂理に従い日々の営みを送ってきました。
一年を周期とし、四季が順調に移り変わる事は、とりもなおさず五穀豊穣と人の世の泰平を意味していたのです。
人々は桜の花を豊穣の神の依り代(よりしろ)として大切にしてきました。桜が咲くと田の神(穀物の神)が山より降りて来られ、桜を依り代とされたのです。さくらの「さ」は「田の神」を表し「くら」は神様の座という意味で、「さ」+「くら」で「さくら」と呼ばれるようになったと言われており、人々は桜の花が咲くと酒や御馳走を持って桜の下で宴を開き、その年の五穀豊穣を祈ったのです。それは花見ではなく田の神をお招きし、五穀豊穣をお願いする行事で、桜の花は農作業開始の合図だったのです。桜の花が満開に咲くとその年の豊作が約束されたと人々は信じていたのです。

鳳凰 は、古代中国の想像上の霊鳥で、麒麟(きりん)・亀・龍と共に四霊の一つとして尊ばれました。形は頭は鶏、首は蛇、顎(あご)は燕(つばめ)、背中は亀、尾は魚のようになっていると言われています。鳥の王と位置付けられ、雄(おす)を鳳、雌(めす)を凰と呼び、梧桐(あおぎり)に棲み、竹の実を食すといわれています。聖王の出現と共にこの世に現れ、名君の治世の時だけこの世に滞在すると言われています。

日本の国花である桜と、鳥の王である鳳凰を組み合わせたこの柄は、日本の古い意匠には少ないものの、江戸時代には皇后の衣裳(いしょう)に使われています。桜も鳳凰も王権を象徴するめでたい柄とされています。