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波に風神雷神
波に風神雷神

この柄はパゴン所蔵の柄と琳派の代表的なモチーフである「風神雷神図屏風」のコラボレーションです。

「風神雷神図屏風」は江戸初期・琳派の祖である俵屋宗達がまず描き、それをお手本として描いたのが江戸中期・琳派の名の由来である尾形光琳であり、さらに光琳の絵を模倣したのが江戸後期・江戸琳派の祖といわれる酒井抱一、さらに抱一の絵を模倣したのが抱一の弟子である鈴木其一です。
琳派の絵師たちによって連綿と受け継がれてきたモチーフをパゴン流にアレンジし(東京国立博物館所蔵 尾形光琳 風神雷神図屏風を手本に、東京国立博物館の許可を頂き、パゴンスタッフが描いた風神雷神です)、琳派の絵師たちが屏風に描いた波図を彷彿とさせるパゴンの人気の柄「波」と組み合わせました。

風神雷神図屏風

Wikipediaより File:Korin Fujin Raijin.jpg

風神・雷神はもともと仏教とともに中国から伝えられました。 宗達は三十三間堂(京都市東山区)の千手観音の使者である風神像と雷神像をモデルに描いたとされています。
風神は風を起こす大きな風袋を担ぎ、対となる雷神は小さな太鼓をつなげた雷太鼓を背負い、打ち鳴らすと雷鳴や稲光が起きるとされています。
風は恵の雨をもとらすとともに、すべてを飲み込む台風ともなります。雷は「神鳴り」と表わされるように神の鳴らすものとして恐れ敬われてきました。
身近でありながら大変恐ろしい自然の姿を祀ることで、その力を味方にしようとしていたのでしょう。

パゴン所蔵の波の柄は、金屏風に波が描かれているものを図案化したものです。絶え間なく寄せては返す波は永続性を表わすおめでたい柄ですが、ここではむしろ波の造形的な美しさに注目されます。
金箔の継ぎ目の面白さをも図案化しており、波の勇ましい力強さ・動きのある造形的な面白さとデザイン的な金屏風の表現を楽しめる柄です。
風神雷神のご利益を味方につけ、波の永続性にあやかり、幸多い日々が続くことでしょう。

琳派は、本阿弥光悦、俵屋宗達を始まりとし、尾形光琳、酒井抱一に代表される一派です。
桃山時代末期に京都の裕福な町衆の経済力と進取の気風を土壌に誕生し、絵画の世界だけに留まらず、
衣装、漆芸、陶芸、屏風、扇子など生活に密着した工芸の世界にも波及しました。
琳派と呼ばれる絵師たちには基本的に血縁関係などの強い結びつきはなく、生まれた時代も隔たっています。先人の作風に尊敬の念を抱き、時代を超えて受け継いでできたアーティストの系譜といえます。