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波に龍
波に龍

京町絵師 冬奇(深谷冬樹)氏の作品をパゴンの京友禅の世界に表現しました。
冬奇氏は、神奈川県出身。高校卒業後上京し、翌年日本文化の中心地、京の都で身を立てるべく上洛。日本画を学んだのち手描き友禅職人として「青々」にて15年間従事しました。そこで感じた日本の伝統文化、伝統美と精神性、守り伝えるべき普遍性を探究しながら自身の絵を現代生活にふさわしい形に進化させ、文化的な貢献を国際的に行いたいと日々研鑽を重ねています。国内外、衣食住すべてのジャンルに柄を提供する京の町絵師です。

龍は、古代中国人が想像した変幻自在の霊獣です。大地と水を支配する龍は、収穫や悪疫の除災を司ると信じられていました。
また「登竜門」の故事から、立身出世に結びつく文様としても用いられています。
日本には4〜5世紀頃、神の使いとして中国から伝来したと言われています。
雨をあやつり大地を潤す、豊穰のシンボルとしての蛇信仰があった日本で、龍は比較的抵抗なく受け入れられ、雲雨を自在に操る水神として崇められていきました。
寄せては返し一瞬の波形を見せる躍動的な波は古くから意匠化され工芸品や着物の文様として用いられてきました。
波は、水神の仕業とも考えられて、波を鎮めるために刀や兜、ときには人柱まで水神に差し出すことがありました。
また、波文は尚武を貴ぶ戦国武将たちに大変好まれ家紋や軍旗、武具などに取り入れられたことから、勝負運上昇のご利益があるともされています。
大きく躍動的に描かれた波の間に浮かび上がる龍の姿が幻想的な雰囲気を醸しています。龍が波を操り、姿を現したかのような構図は、いかにも古代の人々が畏れた水神の姿そのものではないでしょうか。
立身出世や勝負運にご利益がある柄の組み合わせで『ここ一番』に力をくれそうな「波に龍」の柄です。