丸紋や鞠(まり)などの丸いものを散らし、円満さ、めでたさを表す柄の表現は古くから親しまれてきたものです。
この柄はシンプルですが、重なりあった菊、大小の菊というように変化を持たせることによって立体感を出しています。現代の洋柄にも通じるところが感じられ、まるで水玉模様のようです。
水玉に変わり、延命長寿(えんめいちょうじゅ)を表す菊を用いた事で日本的な柄になっています。
この菊花の形は鎌倉時代の鎧(よろい)の飾りなどの金工(きんこう)にはよく使われているものです。
花びらが重なり、盛り上がった球状の菊の形をとり入れているようです。立体感があり、丸いものを散らし円満さ、めでたさを表すと同時に、写実的な菊花を、写実的に使っていないところが面白く、この柄を近代的に見せてくれます。