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唐獅子牡丹

唐獅子牡丹

唐獅子牡丹

獅子はもともとはライオンを意味します。古代ペルシアなどで太陽の王を象徴する聖獣として文様化され獅子文となりました。戦国時代頃、中国に伝わり、邪気を祓う魔よけの意味を持つ聖獣とされるようになっていきます。そうして獅子は、実在する動物ライオンとしての意味よりも想像上の動物という側面が強調されるようになりました。
日本へは、唐代の中国から伝わり「唐風の架空の動物である獅子の文様」ということで「唐獅子」と呼ばれ親しまれました。もともとは実在する動物の文様だった訳ですが、当時の日本人はライオンを見たことがなかった為、獅子も「想像上の獣」として受け入れられたのです。そして、和風化の過程で「唐獅子」として極端に意匠化されるようになり、着物においても勇壮な厄よけのシンボルとして考えられるようになりました。

さて、唐獅子は室町以降、牡丹と組み合された唐獅子牡丹文として描かれることが多くなります。これは百獣の王「獅子」と百花の王で富貴の象徴とされる「牡丹」を取り合わせて吉祥の意味を強めた文様です。着物の意匠として用いられるほか、江戸時代の大名の婚礼調度品に用いられるなど、大変格調高いものでした。
唐獅子と牡丹の組み合せの出典は古く、能の「石橋」に由来します。「石橋」は寂昭法師(俗名、大江定基)が中国の清涼山にかかる石の橋を渡ろうとするが、その地で出会った少年に渡ることの難しさを説かれ渡ることを思い留まったところ、獅子が表れ美しく咲く牡丹に戯れる姿を見る、という物語です。頃は五月。牡丹の花の真っ盛りである山で、咲き乱れる牡丹の花に戯れながら勇壮に舞う獅子の姿は、この世のものとは思えず、寂昭法師の目に映ったことでしょう。物語の地である清涼山は、文殊菩薩の浄土と言われる霊地で獅子は文殊菩薩の乗り物とされています。文殊菩薩は智恵の神様です。ここに獅子は厄よけだけでなく智恵や教養を与えてくれる存在でもありました。牡丹は富みや豊かさを象徴しています。どの時代においても人々が求めてやまない望みの全てが、この柄にはつまっているのです。

 

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