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勧進帳
勧進帳

歌舞伎の有名な勧進帳(かんじんちょう)、安宅の関(あたかのせき)の名場面です。
頼朝に追われ、奥州に逃げる義経一行を関守の富樫左衛門が怪しみます。山伏に身をやつした弁慶、そのお伴の強力(ごうりき)に身をやつした義経。その一行を怪しむ富樫、機転を利かせやり過ごす弁慶。富樫は通行を許します。しかし、強力が義経に似ていると番卒(ばんそつ)の進言でまたも危機が迫ります。弁慶は心を鬼にして主人の義経をお前がぐずぐずしているからあらぬ疑いをかけられるのだと金剛杖で打ちすえます。さらには殺してみせましょうかとも言い放ちます。富樫は主人を思う弁慶の心に打たれ、自分の身を犠牲にしてまでも義経一行を通してやります。

この柄はその名場面を骸骨が演じています。これは大正時代の男の襦袢(じゅばん)の柄です。その時代、お金持ちの男性の社交のひとつにお座敷遊びがありました。そこでは上着の肩脱ぎをしたり、裾をからげて踊ったりする場面が遊びの中にあり、脱いだ時、人目をひくグロテスク、エロティックな柄を見せるのが粋だったのです。そのため、明治時代〜大正時代にはとてもユニークな柄が長襦袢や羽織の裏に描かれています。