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市松に玩具尽くし

市松に玩具尽くし

市松に玩具尽くし

子供のおもちゃを意匠化した文様は、子供の着物に用いられるほか、女性の長襦袢や羽織の裏にも用いられました。
おもちゃは、もともと年中行事などの儀式的なものや厄よけ、招福、占いに起源する行為を遊戯化したものも少なくありません。
でんでん太鼓や横笛、ぶりぶりなどの鳴りものは、音を出して神を呼ぶおはやしで、鳴り物のおもちゃは神の祝福を招くおめでたいものです。また、犬の張り子は、魔除けや無病息災、子供の成長を願うための人形ですが、もともとのルーツは平安時代に京都で張り子のはこ犬を産室に飾る習慣があったことに始まると言われています。
こまは、お正月遊びのイメージがありますが、こちらも古くは宮廷の儀式として用いられることがほとんどでした。この柄の中でも特に目を引く馬のおもちゃは、春駒といいます。張り子などで馬の頭をつくり、竹をさし、下端に車をつけ子供がまたがって遊びます。
また、正月の門付け芸でこの春駒にまたがり歌い踊るというものもあります。他にも船に車輪がついたおもちゃは子供が引っ張って歩くのでしょう。船は、宝や福を運ぶものとしての意味をもっています。風車は江戸中期から末期にかけて、安産、子育ての神として知られる江戸、雑司ヶ谷の鬼子母神の参詣土産として広く知られたものでした。

これらのおもちゃの下に描かれるのは石畳文です。市松文とも呼ばれます。「市松」の名称は江戸中期の上方歌舞伎の役者「佐野川市松」がこの柄を衣裳のはかまに愛用していたことに由来します。規則正しいくり返しが永続性を象徴しています。

子供のおもちゃも時代時代によって変わっていきます。ここに描かれるおもちゃも、子供たちが遊んでいる姿を実際に見ることは少なくなってきています。
しかし、そのおもちゃに込められた、子供の健やかな成長を願う親の気持ちはいつの時代にも変わりはありません。
今は見なくなったおもちゃを懐かしく描くとともに、いつの時代も変わらない親の思いをも感じさせてくれるおもちゃ尽くしの柄です。

 

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