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牡丹
牡丹

牡丹は、中国の唐時代にその豪華絢爛(ごうかけんらん)な花姿から「百花の王(ひゃっかのおう)」といわれ人気を誇りました。唐といえば、世界三大美女のひとり、楊貴妃(ようきひ)が思い出されますが、楊貴妃も牡丹を大変好んだと言われています。日本では、美しい花の姿に例えて「立てば芍薬(しゃくやく) 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」ということわざで美人を形容しますが、世界に名高い美女、楊貴妃が牡丹の花を愛でたということからも、その魅力の程がおわかりいただけるでしょう。傾国(けいこく)の美女 楊貴妃は実は熱田神宮の熱田大神の化身だったとか、中国を脱出し日本に漂着し山口県油谷町に墓があるなど日本各地に様々な伝説が残っており興味をそそられます。
牡丹は日本には奈良時代、遣唐使によって、薬用として持ち込まれたといわれています。平安時代には観賞用として宮廷や寺院で栽培されました。「枕草子」の文中にも牡丹に関する記述があり、平安貴族が牡丹を観賞していたことが窺(うかが)えます。
江戸時代は一般にもその栽培方法が普及し、中期以降に栽培が進むにつれ、庶民にとっても、その存在は身近なものになっていきました。小袖などの模様として広く描かれるようになったのも、その頃です。江戸時代の牡丹柄には、唐草と組み合わせた「牡丹唐草紋」や、「牡丹と唐獅子」・「牡丹と蝶」などの組み合わせで用いられたものが、吉祥を表す文様としても広く知られています。
牡丹は、別名「富貴花(ふうきばな)」とか「皇(すめらぎ)の花」とも呼ばれ、富貴の象徴として親しまれてきました。富みと地位を獲得できるという意味をもっており、その花をモチーフとするとき、そこには人々の豊かさへの希望や憧れといったものが詰まっているのです。
この柄に描かれる牡丹は、本当に美しく豪華で、百花の王の名に相応しい姿をしています。身につければ、富みや地位もさることながら、心豊かな人生をも獲得できそうですね。