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朝顔
朝顔

昭和初期の「銘仙(めいせん)」と呼ばれていた物の復刻版です。
アールデコ流行後のデザインでハイアールデコと呼ばれます。そのデザインの特徴はアメリカ的で、明るく、強い色彩が使われています。黒地(濃い紺)に鮮やかな青で薄(すすき)を表現し、葉の緑、花の赤と黄、そして白を多用し明るさを表現しているこの柄は、ハイアールデコの特徴を如何なく表しています。洋風な花がまだ一般に受け入れられない時代だったこの頃、柄そのものは日本的な題材が用いられており、色だけを取り入れているため何ともモダンな印象を受けるのです。
「銘仙」とは縦糸を織り機にかけた状態に並べ、その糸の上に柄を型友禅で捺染(なせん 染める)し、緯糸も同じように糸の状態のままで柄を捺染し、捺染された縦糸と緯糸を使い、織りで柄を作った物です。
その為微妙に柄がずれ色がはみ出したように見えるのです。
銘仙に使われた型友禅を本来の型友禅染めで表現してみました。写真を見て下さい。柄の輪郭から色がにじみ出ているように見えます。それは織で柄を作っているからなのです。
復刻版は、そのため花や葉から色が微妙にはみだしている感じを表現した手捺染(パゴンの職人が手作業で染めています)ならではの染めになっているのです。

この柄には秋の七草である、薄、萩、朝顔が描かれています。秋草といっても実際に咲くのは夏です。夏の早朝に咲く朝顔は清々しい朝の空気を感じさせてくれます。
万葉集に秋の七草の有名な歌があります。「萩の花 雄花(おばな)葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)が花 女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま) 朝顔が花」山上億良 です。ここでいう「朝顔が花」は桔梗だともいわれています。