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紫陽花
紫陽花

紫陽花は、日本固有の花です。
ここで描かれているのは「がくあじさい」という種類のものです。万葉集にも詠われており、かなり古くから日本人の生活に溶け込んでいたようです。
土壌のPHによって花の色が変わることから「七変化」の俗名があるほど変化に富み、また多くの花をつけることで豊かな表情を見せます。
中でも青紫色の大きな花が好まれて、文様としては江戸時代から用いられるようになりました。
琳派の絵師たちにより陶磁器や蒔絵などの工芸品に巧みに文様化されています。現代では、着物や染め帯、浴衣に多く意匠化され、初夏の季節感を感じさせてくれる柄です。

万葉集に詠われた
「紫陽花の 八重咲く如く 八つ代に をいませ我が背子 見つつしのばむ」
の歌は、幾重にも咲く紫陽花の花のように、愛しい人が末永く繁栄するように、という願いがこめられたものです。また、いくつもの花がひとつに集まって咲いている花姿からは、人々の結びつきも連想されます。
雨露をその葉にのせて美しく咲く紫陽花の柄が、大切な誰かと縁を結び、また末永い絆を約束してくれるかも知れません。