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東海道五十三次箱根
東海道五十三次箱根

歌川広重は、江戸時代を代表する浮世絵師です。15歳の頃、浮世絵師を志して歌川豊広に弟子入りし、翌年、広重の雅号を授かります。
歌川派の得意とする美人画や役者絵にとらわれることなく、円山応挙の影響を受けて写生を重視し、独自に腕を磨きました。
また、広重はゴッホやモネなどの画家に影響を与えたとして、世界的にもその名を知られています。

特に広重の作品に用いられる鮮やかな青色は欧米で「ヒロシゲブルー」「ジャパンブルー」などと呼ばれ、特に藍色の美しさは高い評価を得ています。
「東海道五拾三次」シリーズは、東海道の53の宿場に出発地、到着地を加えて描かれたものです。
この作品は遠近法を用いた立体的な描写といった絵そのものの良さに加え、富士山信仰やおかげ参りなどの旅行ブームの後押しもあり大変な好評を博しました。
今回はこの有名な広重の作品より「東海道五拾三次之内箱根湖水圖」をパゴンの京友禅の世界に表現しました。
江戸時代第一の街道であった東海道には、幕府が江戸を守るために重要な「箱根関所」があり、関所破りは見つかれば死罪の重罪でした。こうした箱根関所の厳しい検問や、峠の険しい様子から箱根は東海道第一の難所とされ「箱根の山は天下の険」とも呼ばれました。
険しい箱根の山、その峠を越える大名行列。その奥には、峠とは対照的に静かに広がる芦ノ湖と富士山の様子が描かれています。
箱根山の岩肌は、さまざまな色合いを使って描かれ、起伏にとんだ荒々しい様子が表現されています。
実際にはこの構図は難しいと言われますが、多彩な色と奇抜な形の組み合わせによって描かれた「東海道五拾三次之内箱根湖水圖」は広重の傑作中の傑作と言われています。

東海道五拾三次之内箱根湖水圖
静岡市東海道広重美術館蔵「東海道五拾三次之内箱根湖水圖」よりアレンジ