友禅染は江戸時代、元禄年間、人々が太平の世に享受し、町人文化が栄えた頃に生まれた技法です。当時、京都の知恩院の門前で扇絵を描いていた宮崎友禅斎という人の絵が人気を集め、その人気絵師の画風を着物の模様染めに活かしたものが始まりとされています。
宮崎友禅斎は優れたデザイナーでした。当時の染色技法と彼の描く大胆な絵が出会う事により友禅染めは大流行したのです。
友禅染めは複雑な模様を多くの色を使って染める技法です。色と色が混濁しないように”防染技法”を用い多彩で鮮明な模様を染め出します。京都で染められている物を京友禅、加賀で染められている物を加賀友禅と呼びます。
晩年、宮崎友禅斎は加賀に移り住み、かの地で友禅染めを広めたと言われています。
現在は「伝統工芸」として歴史ある文化といえますが、元来「流行」を取り入れた「技術」であったものなのです。