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亀と鳳凰
亀と鳳凰

加賀友禅作家・吉本大輔氏の手により、パゴンの京友禅に新しい柄が誕生しました。吉本氏は、石川県金沢市出身。金沢美術工芸大学工芸科を卒業後、加賀友禅作家に弟子入りしました。その後、2008年に独立。2017年には伝統工芸士に認定されました。 加賀友禅作家として、伝統工芸品である加賀友禅の着物を制作する傍ら、着物以外の世界にも活躍の場を広げています。花鳥風月をモチーフにしながらも、着物の範疇にはないモダンでポップなあしらいにイラストレーター的なセンスが光ります。
今回の「亀と鳳凰」では、吉本氏のエッセンスがプラスされパゴンの京友禅の世界に新しいイメージのひと柄が生まれました。

「亀は万年」と言われるとおり、亀は長寿の象徴です。日本の亀文様は、古くは弥生時代からみられ、長寿万年を生きる長寿のモチーフとして用いられました。また、中国やインドなどをはじめ、世界各国で「亀が世界を支えている」という思想があり、亀は神聖な動物でした。柄としては単独で用いられるよりも、同じく長寿の象徴である鶴と組み合わせたり、松竹梅との取り合わせ、伝説の山である蓬莱山を背負った亀など、おめでたい柄を何重にも重ね合わせて吉祥性を強調する意匠が多く見られます。
鳳凰は古代中国の想像上の霊鳥で四霊の一つ。徳の高い君子が帝位につくとあらわれると考えられ慶事を象徴する鳥として愛好されてきました。鶏のような冠に、五色の羽、長い尾をもち、全体的に鶏と孔雀を組み合わせたような姿で描かれ、飛べば百鳥が群れ従う鳥の王とされ、その優美な姿が天下泰平を寿ぐ吉祥柄とされています。

この柄では、おめでたい「亀」に「鳳凰」を組み合わせ、梅の花をあしらいました。
世界の礎となると考えられた「亀」に、有徳の天子のもと、天下が治まれば現れると言われる「鳳凰」。新しい時代に長く続く幸運を運んでくれる最強の取り合わせです。