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なでしこ
撫子

撫子は秋の七草の一つとして親しまれている花です。
撫子の名前の由来には、花のあまりに可憐な姿に、思わず撫(な)でさすりたくなる事から「撫でさすり草」といい、それが転じて撫子になったとの説もあります。
また、撫子は春から夏に掛けて長い間、可憐な花を咲かせるので「常夏(とこなつ)」とも呼ばれています。

撫子は、古来より白や淡紅色の可憐な花姿が愛されてきました。
中国から渡来し広がったものを「唐撫子(からなでしこ)」と呼び、日本の在来種である「大和撫子」と区別しています。
枕草子には「草の花は撫子、唐のはさらなり、大和もいとめでたし」と記され、宮中では両方の美を愛でていたいようです。唐撫子は石竹(せきちく)とも呼ばれ、日本のものより花弁がやや丸っこく、色も華やかで、どちらかと言えば可愛らしい印象。かたや「大和撫子」は控えめで清楚な佇まいをしています。この柄は、どちらかと言えば「唐撫子」のイメージに近い花姿でしょうか。枕草子に「唐のはさらなり(唐のものは言うまでもないが)」と記された可憐で愛らしい様子を感じることができます。

さて唐撫子と区別されて呼ばれた『大和撫子』ですが、転じて日本女性の清らかさ、美しさを表す言葉として現代にも用いられています。
現在では日本女子サッカーの愛称に「なでしこジャパン」が使われるなど、可憐さだけでなく元気さや芯の強さも感じられる「撫子」。こうしてみると美しい日本女性を表す『大和撫子』という言葉には、その時代、時代で求められる「愛される日本女性」象が写し出されているのかも知れません。