青海波は、波文の一種です。扇形状の文様を連続して並べ、繰り返し押し寄せる波の悠久の動きを文様化しています。無限に広がるそのイメージから、永遠、不老不死につながる吉祥文様です。この青海波の形を、花のモチーフを使って描き出したものを花青海波と呼んでいます。
花は、四季のある日本で人々の生活に密接に関係した存在でした。時期になると咲き、美しい姿と良い香りを放ち、散っていく姿が、日本人の豊かな感性を育んだといっても過言ではありません。
花は、その美しさで人々の目を楽しませたり、季節の移り変わりを知らせる他、神の依り代として、人々にその年の豊穣、実りを教えてくれるという重要な役割も担っていました。
花と青海波の組み合わせには、豊かな実りが来年もその次の年も…永遠に続いてほしいという人々の切なる祈りがこめられているのかもしれません。
また、この柄の青海波は一方方向にむかって連続するのではなく、一定の塊が互い違いに入れ違って描かれています。青海波が交差するその様子は、あたかも出会いを象徴しているようです。
豊かな実りと良縁を得て、人生の幸福が永遠に続くことを願う、花青海波の柄です。