金魚は夏の風物を表す画題として夏用の着物の柄に使用されました。涼しさを感じさせてくれます。また、その可愛らしさから子供の着物用によく使われてきました。
中国から日本に金魚がきたのは、約500年前、室町時代の末期とされています。貿易港として栄えていた堺(大阪府堺市)に持ち込まれた金魚は、貴重品として扱われました。
その後、江戸時代に再び中国から金魚が渡来。世の中が平穏になった江戸中期、江戸文化のひとつとして金魚も広まりました。
金魚の養殖は、江戸時代金魚を愛好していた大名のおひざ元で、武士の副業として始められました。中でも奈良県の大和郡山地方は領主から家臣に金魚飼育が広まり、代々受け継がれる形で大きな産地となった地域です。そのため金魚を飼う事が庶民にも広がるようになりました。金魚売りも登場し、 浮世絵や着物の柄に描かれるまでになったのです。一般家庭で飼うこともありました。輸出用として飼育もされていたのです。
また、中国では金魚は八宝(吉祥の意味を持つ八つの宝)の一つで、邪悪を退けるといわれます。更に発音が「金余」(お金が有り余って豊かな状態)と同じことから縁起の良い柄とされています。
水草が漂う中、大小のかわいい金魚が泳ぎ、いかにも涼しげな柄であると共に、金運が上昇する縁起のよい柄です。