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あえて⼈の⼿で染めること、それがPagongらしさ

機械では出せない、手作業だからこそ表れるPagongらしさ

服を染めるときは色の数だけ型があって、型一つ一つに対して手作業で染めています。工場の台全てに生地を張って4反染めるときは型一つに対して2人作業で15分はかかるので、24色あるものだと半日で終わるか終わらないかですね。真夏の時でもずーっと動きっぱなしなんです。それが結構キツイです。(笑) 夏場は冬物を作るから生地が厚い分染めるのも大変、具体的にはパーカーです!浸透させないと引っ張ったときに奥まで染まってないから白く見えてしまう。浸透させるために2回同じ色を染めることもある。手にマメができるくらい力を込めて行う作業なんです。もちろん同じ型で染める服は同じものにしないといけない、ただどうしても手作業だから機械のように全く同じにはできない。でもその垣間見える手作り感が機械にはできないPagongの良いところだと思います。

染めれば染めるほど難しい。でも、それが良い。

染める技術っていうのは教えてもらうだけじゃわからないです。経験するしかない。染めるときの力加減や角度だけではなく、生地によっても変わってきます。染める前、生地を見たとき「あ、この生地なら安心や」とかも逆にあります。(笑) 作業がうまくいって良かったと思ったとしても何かしら心に細かく気になることが多いです。染め方にしろスキージ( 先にゴムが付いているヘラのようなもの)の選択にしろ、ここは硬いスキージでいけば良かったなとか思うんです。背景とかベースの色を染めるときに使う地型なんかは硬いスキージでいかないと均等にならない、染める面積が広いから柔らかいスキージだとムラが出てしまう。型自体にもクセがあるんです。すぐにはわからないんですけど、やっていくうちに型が歪んで左側半分と右側半分でちょっと違うなとかそういうのが出てくるんです。歪みに合わせて調整する必要が出ててくるんです。最初はわからないんですよそういうこと、経験することで見えてくるのでやればやるほどどんどん難しくなっていきます。

忘れられない「鳥獣花木図屏風」

お気に入りの図案で言うと「鳥獣花木図屏風」の柄は今までにないテイスト。とても難しかった。

他に思い入れのある図案で言うと「大牡丹と光琳菊」ですね。私がここに入ってから少し経ったくらいの時期だったんですけど、この柄でワンピースを作るということになって、ワンピースにするには長さが足らないので、ワンピース用の型を作ったんです。染め方もすごく複雑で、一つの花を染めるのに普通なら1回で行うところを、その型を半分で分けて2回行うので倍の数の作業が必要になるんです。こんな複雑なことするのかと驚かされた思い出のある図案です。

Life with Pagong手作業がもたらす感動

手作業で全部作っているので、値段もそれなりに高く感じると思うんですけど、着てみた時の感動はPagongのアロハシャツでしか味わえないものです。たくさんの人に着てみてほしいです。そして毎年新しい柄の服を作っているので、色んな柄を着て楽しんでいただきたいですね。

語:小野正義/ Pagong 染め職人