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配色師としての仕事、それは「守破離」への挑戦

何度も何度も頭の中で色を組み合わせる

服を染めるとき、型屋は色の数だけ型を作るんです。色の数(型の数)を確認するために型屋では「絵刷り」という設計図のようなイメージ図が大きな紙で作られてこちらに届きます。その絵刷りを見て型ごとにどの色を使用するか指定するのが配色師の仕事です。「色見本」を見ながら紙とペンを使って指定していくのですが、黒と言っても様々な黒がある。その作品に一番適した色を指定していくのが難しくもあり楽しいところです。また、同じ配色でも商品によって生地や素材が異なるので、同じ色を出すために素材毎に微妙に違う色を指定します。作業自体はパソコンを使ってでもできることなのですが、実際に染めたときにデジタルとアナログでは微妙に変わってしまうので、あえて手作業で配色を行います。

色が少ないほど無限の可能性があり難しい

柄・デザインによって使用する色数は異なります。2色で構成されている柄から30色近く使用している多色な柄まで様々です。Pagongには「花うさぎ」という柄があるのですが、この柄は2色の構成です。たった2色ですべてが完結しているのが難しい。色の濃度などがほんの少しでも違うだけで、全体の雰囲気が変わってしまう。本当に「花うさぎ」の配色は大変でした。多色の場合は全体のバランスを見て一色一色の指定ができるのですが、2色となると幅が広すぎて、どんな色でも成り立つから正解が見つかるまで何度も何度も頭の中で配色を繰り返しました。

衝撃を受けたPagongとの出会い

Pagongで働くきっかけは通っていた大学の教授からの紹介です。私は着物などの和の文化が好きで、大学でも染め物やテキスタイルについて学んでいました。初めてPagongの店舗に来たとき、和柄をこんな風に洋服に展開しているブランドがあるなんて知らなかったのでかなり衝撃的でした。2014年から配色の仕事をしていますが、これまで1600以上の配色をしています。改めて数字にしてみると自分でも驚きました(笑)頭の中ではそれ以上に配色しているということにもなりますしね。

伝統を守りながら新しいPagongの表現へ挑戦

私は配色をする上で「守・破・離」を意識しています。古典的な色の組み合わせを守って配色するのか(守)、他にはないPagongらしい配色をするのか(破)、まったく新しい今までにないPagongに挑戦し配色するのか(離)。それぞれに良さがあり、Pagongの友禅染にしかできない表現だと思います。インクジェットでは出せない手で染めた色の深みを、実際にお客様が着て感じていただけることが配色師としてとても嬉しいことです。やっぱり街でPagongを着ている人を見かけると思わずじっくり見ちゃいますね(笑)。他のアイテムと組み合わせたり、人が着ることで完成する商品なので、色んな人に着てもらいたいです。

語:湯浅千津 / Pagong 株式会社亀田富染工場 配色師